くらげなす

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クラゲ怪獣クゲラさんによる恐怖の“お誕生会”!?


社員たち
北野勇作 (著)


“会社”を舞台にしたSF短編集。
近未来の話のようだが、各話での世界観のつながりは不明。同じ世界なのかもしれないが、全ての話の会社が同じ会社という訳でもないようだ。
ただ少なくとも、最初の話である「社員たち」と最後の「社員の星」は続き物である。
また、後半の「お誕生会」「社員食堂の恐怖」「社内肝試し大会に関するメモ」「南の島のハッピーエンド」の4作はどれも、“クラゲ怪獣クゲラ”による労災を描いている。


“クラゲ怪獣クゲラ”はその名前の通り、クラゲのような生物(?)で会社によって生み出された実験体だ。
なんでも溶かす液を吐いたり、人間を食べて自身の一部に取り込んだりできる。
取り込まれた犠牲者の脳味噌はクゲラさんの一部となり、メモリーとしてそのまま利用される。具体的にどういう状態になるのかは、是非読んで確かめて欲しい。
ひょっとしたら他の話も全て、クゲラさんによる“社員補完計画”だったのでは!?……流石にそれは考えすぎか。
ちなみに、彼が大暴れしているのは、自身の“お誕生会”が今年は開かれなかったためだ。


他の話も面白い!どれも読み応えがあった。
しかし、なかなか恐ろしい短編集だ。主人公たちは会社や社会のせいで、割と取り返しのつかない目にあっている。
中には新しい環境に適応するために、“ヤモリ”になってしまった者までいた。
だがそこまで酷いことにならないまでも、ブラック企業や理不尽な職場に無理に適応している人は沢山いるのかもしれない。“会社”とは恐ろしい場所だ!