くらげなす

読書ブログです。

詩人が迷い込んでしまった猫まみれの世界!


猫町
萩原朔太郎 (著)


日本近代詩の父、萩原朔太郎さんによる“散文詩風な小説(ロマン)”。
温泉旅行に行った詩人が道に迷い、気が付けばそこは猫だらけの“猫町”だった!……というお話。


主人公の詩人は病的な方向音痴。当の本人が“三半規管の疾病”とまで表現する程の圧倒的方向音痴だ。
近所を散歩しているだけで訳が分からなくなってしまい、いつの間にか全然知らない美しい町を彷徨っている。しかし、冷静になり気が付いてみればそこは、自分が住んでいる見知った町なのだった。
どうやら方位を錯覚することにより、裏世界に迷い込むことができるらしい。


そんな彼が温泉旅行に行った先で、やはり道に迷ってしまう。典雅な人々が歩く、静かな美しい町だった。でもなんだか様子がおかしいぞ……?
そして最初に書いた通り、猫町に迷い込んでしまう。
どこを見ても猫だらけ。人間ではなく猫の世界。


三半規管の喪失。方向音痴が極まると地図上の座標では表せない、不思議な世界に入れるのだろうか?
同じ風景でも別の方角から見ると、確かに違った趣がある。それが異次元レベルまで極まると、日常とは違った切り口の異世界が見えるのかもしれない。
いや、むしろ詩人の圧倒的感性がとらえた真実の世界なのでは?我々が日常で省みないような美や恐怖を、主人公の詩人は見ているのではなかろうか。
どっちにしろ、宇宙のどこかに猫まみれの世界があるのは間違いない!そんな気がする!


「猫町」は古い作品なので、色々な本が出版されている。
私が初めて読んだのは金井田英津子さんにより装丁・挿画された絵本。
イラスト付きだと他に、立東舎の「乙女の本棚」シリーズからも出ているようだ。
文章だけでいいなら無料のKindle版もある。


猫町

猫町

猫町 乙女の本棚 (立東舎)

猫町 乙女の本棚 (立東舎)

猫町

猫町