くらげなす

ニートの読書感想文。

鳥籠を作る女の子の物語


鳥籠の小娘
千早茜 (著)、宇野亞喜良 (絵)


今回紹介するのは絵本。帯には“大人のための絵本”と書かれていた。
著者は小説家の千早茜さん。絵はイラストレーターの宇野亜喜良さんが描かれている。


籠を編むことで生計を立てている盲目の老婆。彼女はある日、髪の真っ白な娘を連れて帰ってくる。
老婆は娘に籠の編み方を教えるが、娘は教わった技術で美しい鳥籠を作りだす。鳥籠の出来を確かめた老婆は何故かそれを売ることを禁じ、村人たちにタダであげてしまうのだった。
村人たちは家の軒先に空の鳥籠を吊るし、村は“透明な鳥を飼う村”と呼ばれるようになる。


やがて死期を悟った老婆は森へと去っていき、残された娘は一人で鳥籠を作り続ける。村人たちは鳥籠を貰う代わりに食料を置いていくが、それ以外は娘に一切関わろうとしない。
そしてある嵐の晩、彼女の小屋に黒い魔物がやってくる。


なんだか素敵な絵本だった!絵も文章も素敵だ。
主人公の娘はあらゆる物に執着しない。自分が作る鳥籠のように空っぽでいたいらしい。
老婆は彼女に鳥籠を売ることを禁じたが、それは何故だろう?老婆が売っている籠と娘の鳥籠、一体何が違ったのだろうか?


娘の鳥籠は自己表現の一種だったようだ。今まで見てきた鳥たちに、それぞれぴったりの鳥籠を作っていた。
空っぽの鳥籠はそこに入っていない鳥、ひいては彼女の自由な心を表している。老婆は娘の心を表現した作品を、お金に変えたくなかったのかもしれない。あるいは、お金で安楽を得ることによって、彼女が自由への憧れを失ってしまうのを恐れたのではないか?


私は俗物なので、好きなことをやってお金が貰えるのなら大変結構なことだと思う。しかし、娘の心を空っぽに、何物にも執着せず自由でいたいという考えには大いに共感する。
彼女と魔物が山を越え、どこまでも自由に旅することを願っている!