くらげなす

ニートの読書感想文。

電車に乗ったら窓の外に忍者を走らせよう!


となりの脳世界
村田沙耶香 (著)


小説家の村田沙耶香さんのエッセイ集。
これまで色々なところに掲載してきたエッセイを、一冊にまとめた本。


著者の村田さんは他人の脳を借りて、そこから見える世界を覗いてみたいという。私もそれは常々考えていた。相手の脳内、思考、世界観を覗く超能力が欲しい。
しかし、この「となりの脳世界」を読んでいて思ったのだが、人によって考え方のベースとなる価値観や人生、これまでの経験は全く違う。なので実際に誰かの脳世界を覗いても意味が解らず、ただただ混乱するということにはならないだろうか?


この本に載っている「『走らせている人』たち」という話が興味深い。世の中には“走らせる派”と“走らせない派”の人がいる。“走らせる派”の人は、車や電車での移動中、流れていく景色の中に“何か”を走らせているのだ。何を走らせるかは人それぞれ、忍者だったり動物だったりする。“走らせない派”の人は、この話を聞いても意味が解らないらしい。村田さんは“走らせる派”である。
ちなみに私も“走らせる派”だ。電車や他人の運転する車に乗る機会が減ったので忘れていた。というか、自分だけだと思っていたのでこの本を読んで驚いた。私が走らせていたのは四本足の透明な動物。今度電車に乗ったら忍者に挑戦したい。


“走らせない派”の超能力者が“走らせる派”の脳世界を覗いたら、どう反応するだろう?

「窓の外に何かいるのか……?何ぃ??に、忍者だと!?」

「ひえ~!この人変なものが見えてるよお……」

実際のところはよく解らないが、ひどく混乱するかもしれない。或は、走らせる方法を学んで“走らせる派”に進化するかも?


この「となりの脳世界」には村田さんの脳の中が描かれている。超能力者じゃなくても、他人の脳世界を覗くことができるのだ。“走らせない派”の人もこの本を読み、明日から忍者を走らせよう!